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今月も10月に続いて『ワールドモルト特集 2022』の後半として、世界の様々な国のモルトウイスキーを中心に13本の新入荷を投入しましたが、既にすべてのボトルにご注文をいただき、私も開栓時に「店主の分け前」として一通り味見しました😄

全体的な感想としては、先月以上に個性的な味わいのものが多い印象です✨少量生産のものが多いので少しお値段も高めになってしまいがちですが、まさにアンサングな(世に知られていない)ウイスキーの数々、お試しいただけたら嬉しいです🎵

では今月もぼちぼち各ボトルを紹介していきたいと思います。まずはスイスのランガトゥン蒸留所の２種類のモルトウイスキーから。

① Langatun Old Deer Cask Proof　ランガトゥン オールドディア カスクプルーフ　¥1800 / 1980

※ スイス製シングルモルト。第一次大戦中、食糧難に備え主要穀物の蒸留酒製造が禁止されたスイス。それが解除されたのは1999年のこと。大戦前にビール醸造所と蒸留所を所有していた先祖の後を継ぐ形で2007年、新しいランガトゥン蒸留所が創設された。伝統と最新技術を融合し、最高品質の大麦麦芽を輸入し自家製麦でウイスキー造りを行っている。オールドディアはノンピートモルトを使用。シェリー樽とシャルドネ樽による５年熟成。カスクプルーフは2020年のウイスキーバイブルで95.5点を獲得。58.5%。

すっきりしていながら華やかな甘みが感じられる香りにうっすらとシェリー香。味わいはシェリー感がしっかり感じられますが、シャルドネ樽の効果なのか、一般的なシェリー樽熟成とは異なるフレッシュなフルーツ感も感じられます。飲み下すとそれらの樽由来の香味がさらに増幅、58.5％の心地よい刺激と共に独特のダークベリー系のフルーティな甘みと程よい樽（ウッド）感が沸き上がります。わずか５年の熟成とは思えないまろやかさとコクもあり、たいへん美味しいモルトです👍

少量加水するとフルーティな甘みの主張がさらに強くなりますが、飲み下した後にペッパー系のスパイス感が現れ、この甘辛の絶妙なバランスもいい感じです。

ロックにしても甘みの伸びもよく、フィニッシュにタンニン感が感じられるようになり、これもいいバランスです。非常に秀逸なモルトと評価できると思います。

② Langatun Old Bear Cask Proof　ランガトゥン オールドベア カスクプルーフ　¥1800 / 1980

※ オールドベアはブナ材を燻して乾燥させたモルトを100%使用。日本では「ピーテッド」と紹介しているサイトが多いが、ラベルでSMOKYとしている通り、ピートを炊いているわけではないので厳密には「ピーテッド」ではない。スタウトビール用の酵母で発酵、小さな単式銅製蒸留器による２回蒸留。熟成にはフランスの赤ワイン、シャトーヌフ・デュ・パプの樽を使用。こちらも５年熟成。樽由来のウッド感やフルーツ感と独特のスモーク感がバランスよく楽しめる味わい。カスクプルーフは2013年のウイスキーバイブルで96点を獲得。WWA2020で金賞受賞。58.5%。

なるほどいわゆる「ピーテッドモルト」とは異なるスモーク感。ウッドチップ仕込みというのが頷ける香味です。独特の柔らかい燻香にまろやかさのあるフルーティな甘み。赤ワイン感はあまり感じないものの、心地よい甘みの後にオールドディアよりは明確なタンニン感が感じられ、それは赤ワイン由来のイメージとしっくりくる印象。こちらも魅力的な個性溢れる味わいです。

こちらも少量加水、ロックでもいいバランスを保ち、お好きな飲み方でお楽しみいただけそうです。

どちらも甲乙つけがたい完成度。ランガトゥン、恐るべしです💓