BLOG

今月の新入荷、モルトウイスキー編の最後の１本のご紹介です。

⑧ High Coast Berg　ハイコースト ベルグ　¥900 / 990

※ スウェディッシュモルト。2010年、ボックス蒸留所として創設後、2018年にハイコーストと改名し、2019年に４種リリースされたシングルモルトのひとつ。2020年６月に紹介したHav、Timmerに続き第３弾。Bergは「山」を意味し、ノンピートモルトを100%使用、バーボン樽で２年の熟成後、ペドロヒメネスシェリー樽でさらに２年の後熟。レーズン系のフルーツ感、甘み、スパイス感などPX樽の特徴がしっかり楽しめる。50％。

最近ハイコーストはコアレンジボトルのデザインを一新した新ボトルになり、味わいも少し変化しているかもしれませんが、本品はしばらく前に仕入れておいた旧ボトルです。過去導入したライトピートタイプの「ハヴ」、ピーテッドタイプの「ティンマー」はどちらもすっきりした酒質が印象的でしたが、より濃厚な味わいになる傾向があるシェリー樽熟成品の本品、どんな仕上がりか楽しみにしていました。

色はいかにもシェリー樽熟成といった感じの赤みを帯びた濃いめのアンバー。美しい色合いです。香りはココアやレーズンのPX樽由来と思われる深みのある香りにほんのりとした甘みも感じられます。

口当たりは50%とは思えないくらいスムーズ。明確ながらくどさのないシェリー感。軽い酸味を伴うレーズン系の甘み。やはりハイコーストらしいすっきりした質感でしっかりとしたシェリー感やココア系のほろ苦さがありながらもボディは重たくは感じられません。飲み下すと50%らしい刺激と共に軽めのスパイス感、程よい酸味。それが退いていくにつれさっぱりしたレーズン系の甘みとココア系のほろ苦さの余韻。

PXらしいシェリー感がしっかり感じられながらこれほどすっきりした味わいのモルトはなかなかない印象で、ハイコーストの個性が感じられる一品ではないでしょうか。

少量加水するとシェリーの香りに混じってバーボン樽由来と思われるバニラ系の甘みが感じられるようになります。味わいにもバニラ系の甘みとクリーミーな滑らかさが感じられ、度数が多少下がってもスパイス感はそれ程後退したようには感じられずいいバランスです。私はこの飲み方が好みですね。

ロックにして加水が進むとシロップのような甘みが出て、少し軽くなったレーズン系のフルーティさと相まってこれもまたいい感じです。もとのボディがすっきりしている分、加水で失われる質感があまり感じられず、飲み方を選ばないモルトと言えそうです。