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★2月の新入荷⑫★Pere Magloire VSOP Smokey Islay Cask
2023.02.24
前回に引き続きカルヴァドスの名門ペールマグロワール製のVSOP規格品をもうひとつ。飲み比べも面白いかと思い、同時投入しました。
⑫ Pere Magloire VSOP Smokey Islay Cask ペールマグロワール VSOP アイラカスク ¥800 / 880
※ カルヴァドスの名門ペールマグロワールが2022年、6500本限定でリリース。フレンチオーク樽で5年以上熟成後、アイラ島のピートの効いたシングルモルト樽で後熟させたもの。アメリカンオーク樽での熟成がカルヴァドスの規定に抵触するため「オードヴィー・ド・シードル」としてのリリースとなっている。アイラ樽由来のピートスモークの香味がカルヴァドスにどのように調和するのか興味深い1本。40%。
「カルヴァドスのアイラカスクフィニッシュ」。アイラモルトファンとしては気になってしまいますねえ。仕込みにピートを炊くわけではなく、あくまでも樽に残る香味なのでピート感は穏やかなものであろうとは予想しますが、カルヴァドス+ピート感、どんな感じになるのか興味津々でした。
上記説明にも書きましたが、本品は厳密にはカルヴァドスではありません。追熟に使用したアイラカスクは元々アメリカンオークのバーボン樽であると思われ、カルヴァドスは原則ヨーロピアンオーク樽での熟成とされているようなので、ボトルにも箱にも「カルヴァドス」の表記はなく、「オードヴィー・ド・シードル」となっています。以前導入したバーボン樽フィニッシュの「シャトー・ド・ブルイユ ランスミ」と同じですね。そもそもウイスキー樽を使ってはいけないのかもしれません。カルヴァドスの規定を調べてはみたのですが、明確な記述は見つけられませんでした。ただ、最近アンジュ・ジアールからリリースされたバーボンカスクフィニッシュ品はラベルに堂々と「Calvados」と書いてるんですよね・・・。どういうことなのかなあ・・・。
また、前回紹介したペールマグロワールの通常品のVSOPはペイドージュ規格でしたが、本品にはその表記もありません。そもそもカルヴァドスではないので、ペイドージュ規格品ともならないわけですが、原料となるりんごが通常品同様ペイドージュ産なのか、他の産地のものも使っているのかも不明です。
さて、飲んでみた感想です。色合いはゴールデンアンバー。前回紹介のVSOPのオールドボトルよりはやや濃い色合い。香りはなるほどうっすらとスモーク感の感じられる香りですが、「アイラのピート」を感じるかと言われると微妙です。その奥にはりんご香も感じられます。VSOPのOBほど華やかではありませんが、時間経過で甘みを伴うりんご香がじわじわ開いてくる印象です。
口当たりはなめらか。味わいにアイラのピートの風味は正直よくわかりません(^^;)。元々はバーボン樽ということで、それ由来のバニラ系の香味が出ているのか、VSOPのOBよりも甘みを強く感じます。酒質的にもまろやかさが増している印象。ほんのりほろ苦さも感じられ、そこに幾分スモーク感がのっているような気もします。飲み下すと心地よいスパイス感の後、ちょっとブドウを感じるような甘みのあるフルーティな余韻が残ります。
アイラモルトからイメージするピート感を求めようとするとやや拍子抜けのような印象になってしまうかもしれませんが、通常品とは一味違う甘みの感じられる、これはこれで美味い酒だと思います。ペールマグロワールのVSOPらしいすっきりした質感は本品でも健在です。