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★2月の新入荷⑤★Boann Pot Still Marsala Cask
2025.02.21
⑤ Boann Pot Still Marsala Cask ボアン ポットスチル マルサラカスク 47% ¥1500 / 1650
※ 新興ボアン蒸留所のデビュー作ポットスチルシリーズのひとつとなるアイリッシュポットスチル。モルト、未発芽大麦に加え、オート麦、ライ麦を含む原料レシピで、バーボン樽での熟成後、フレンチオークのマルサラワイン樽で追熟。ミドルトンのポットスチルよりはライトな質感で、バーボン樽+マルサラ樽の柔らかい香味と原酒が持つと思われる香ばしい香味が融合したエレガントな仕上がり。47%。
★追記:アイルランドでは自前の蒸留所ではなく、よそから原酒の提供を受け、独自のブランド名でウイスキーをリリースしている事業者を「ボンダー」と呼びます。近年急速に数を増やしているアイルランドの蒸留所ですが、その多くは自社蒸留のウイスキーが出来上がるまで、まずはボンダーとしてウイスキーをリリースしています。ウイスキーはそもそも造り始めてから製品となるまで何年もかかるわけで、それ自体は大いに結構。
ただ、私がアイルランドの新興蒸留所に対して気に入らないのは、ボンダーとしてリリースした製品に自らの蒸留所の名前を冠しているところが多いことです。まずは名前を知ってもらう、という意味では戦略として有効かとは思いますが、これをやられるとこちらはリリースの度にそれがどこの蒸留所で造られた原酒を使っているのか確認しなければなりません。スコッチと比べ、アイリッシュのこの分かりにくさはせっかく盛り上がってきているアイリッシュウイスキー業界に水を差すことにならないのか?と思ってしまいます。
しかし、このボアン蒸留所は違います。これまでボンダーとしてリリースしてきた製品は「ホイッスラー」というブランドで展開。この度、自社蒸留製品が完成したことでめでたく「ボアン」の名でのリリースとなったわけです。実に分かりやすい。自社蒸留のウイスキーに誇りとこだわりがあるのならこうであってほしいものです。このことだけでもボアンは応援したい蒸留所です。
そのボアンのデビュー作はポットスチルウイスキー。熟成樽を変えた「マルサラカスク」「マデイラカスク」「PXカスク」の3品が同時にリリースされました。応援と期待の気持ちを込めて3品とも入荷しましたが、今月はまず「マルサラカスク」を投入しました。では、以下テイスティングノートです。
香り:ポップコーン系の香ばしさを伴うグラッシーな穀物香とマルサラ樽由来と思われるすっきりした甘みのある香り。
味わい:ミドルトンのポットスチルと比較するとかなりすっきりした酒質で、ニューポットのアルコール度数が高そうな印象を受けます。あるいは大麦以外の原料を使っていることもその理由なのかもしれません。酒質のライトさもあってなるほど若いウイスキーという印象はありますが、バーボン樽+マルサラ樽の柔らかい甘みと原酒が持つと思われるポットスチルらしい香ばしさが融合して非常に上品な香味を醸し出しています。
フィニッシュ:香ばしさとグラッシーさのある穀物感と樽由来の甘みのあるフレーバー、軽めのスパイス感が融合した余韻。これまで味わったポットスチルとはひと味違うエレガントな仕上がりです。
少量加水: 味わいの方向性は大きく変わりません。マルサラ由来の香味は伸びもよさそうですが、あまり苦くはないもののポットスチルらしいタンニン感が主張するようになり、飲み口はマイルドながらボディ感は一段増すような印象を受けます。お好み次第でしょうか。
デビュー作としては上々の出来と評価できます。熟成が進めばさらによくなっていくポテンシャルも感じられ、今後も注目していきたい蒸留所です。