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★3月の新入荷⑪★Two Stacks Smoke & Mirrors
2025.03.26
⑪ Two Stacks Smoke & Mirrors トゥースタックス スモーク&ミラーズ 48% ¥1000 / 1100
※ 2020年に設立されたボンダーブランド「トゥースタックス」によるアイリッシュモルト。原酒はグレートノーザン蒸留所製。様々な原酒を造り分けるグレートノーザンの特性を活かし、バーボン樽での熟成後インペリアルスタウトビール樽で追熟した3回蒸留原酒60%+バーボン樽熟成の3回蒸留ピーテッド原酒30%+バーボン樽熟成2回蒸留原酒10%という独特の構成。モルティさ、バニラ感を伴う甘みにスモーク感やほろ苦いニュアンスの加わった個性的な味わい。48%。
★追記:「トゥースタックス」ブランドを展開するアイルランドクラフトビバレッジ社の本拠地はダンドーク。この街にはその昔ダンドーク蒸留所という大規模なウイスキー蒸留所があり(1926年に閉鎖)、そこには2本の大きな煙突が立っていて、ダンドークのシンボル的なものだったようです。「スタック」は煙突のことですので、それに因んだブランド名と思われます。
ちなみに原酒を提供しているグレートノーザン蒸留所も同じダンドークにあります。同所はクーリー蒸留所の創設者、ジョン・ティーリング氏がクーリーをビーム社に売却後新たにビール工場を改修し創設。2015年にグレーンウイスキー、2018年にはモルトウイスキーとポットスチルウイスキーの蒸留を開始しました。アイリッシュウイスキー全体の復興を願うティーリング氏はグレートノーザンとしてのオフィシャルボトルは一切リリースせず、全ての原酒をボンダーに提供しています。現在のアイリッシュの復興ぶりはグレートノーザン抜きでは語れないと言えるでしょう。
さて、その2つのダンドークのチームがタッグを組んだ本品。ピーテッド原酒を使ったスモーキーな香味から「スモーク」は分かるとして「ミラーズ」は何ぞや?と思うところですが、Smoke and mirrorsはそもそも昔の煙と鏡を使った手品的なトリックから、「まやかし」や「ごまかし」的な意味で使われる英語の慣用句です。さて、その味わいにマジックはあるか、以下テイスティングノートです。
香り:枯芝を燃やしたかのような独特の軽いスモーク香とグラッシーさを伴うスパイス香。その奥には軽やかな甘み。スタウトビール系の香りはよく分かりません。
味わい:ほろ苦さと軽い酸味が先に来て、それをグラッシーな香味、独特のスモーク感、バニラ系の甘みが追いかける非常に個性的な味わい。味わいにもあまり「ビール感」は感じませんが、スタウト樽はほろ苦さやモルティさを醸しているようなイメージで、味わいにボディ感を加えているような印象も。そのためか、3回蒸留原酒を主としている割にはボディはそれほど軽くは感じません。
フィニッシュ:飲み下すと軽いスパイス感が先述の香味に加わり、余韻ではほろ苦いタンニン感とバニラ系の甘みが最後まで残ります。
いやあ、変わったお味ですねえ😅。60%を占めるスタウト樽による追熟とおそらくアイルランド産ピートを使っていると思われる独特のスモーク感の効果がどちらもあまり馴染みがないので、どの香味がどちら由来のものなのかがはっきり分かりませんが、とにかく個性的な味わいです。スタウト樽を使わない「ダブルバレル」(バーボン樽+シェリー樽で熟成・43%)という製品もあるのですが、なぜかこちらは日本に入荷していません。こちらも3種のモルト原酒を使っているので、比較できると面白そうなのですが。
少量加水: バニラ系の甘みが前に出て、幾分個性は弱まるもとっつきやすい味わいになる印象です。
ある種マジックは感じられる味わいですね😊。自信をもってオススメというタイプではなく好みは分かれそうですが、おもしろいお味ですよ。