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★2月の新入荷⑥★Lindores Single Malt MCDXCIV
2023.02.17
⑥ Lindores Single Malt MCDXCIV リンドーズ シングルモルト 1494 ¥1100 / 1210
※ ローランドモルト。1494年のウイスキー最古の記録の舞台とされるリンドーズ修道院の跡地に2017年に創立されたリンドーズ・アビー蒸留所の初シングルモルト。地元ファイフ地方産のノンピートモルトを原料に、長い発酵時間、銅とのコンタクトを高めた蒸留、バーボン、シェリー、STRの3種の樽を使用した熟成など、こだわりの製法で4年足らずの熟成ながらSWSC2022では早速最高金賞を受賞。ウイスキーの「聖地」発のウイスキーとして世界の注目と称賛を集めている。46%。
上記「1494年のウイスキー最古の記録」というのは、スコットランド財務局の同年の記録に「国王ジェームズ4世が修道士ジョン・コーに8ボル(約500kg)の大麦麦芽を与えアクアヴィテを作らせた」とあるもの。アクアヴィテとは現在のウイスキーの原型となった蒸留酒で、これがウイスキーの最古の公式な記録とされています。後にそのジョン・コー修道士がいたのがリンドーズ修道院だったということが判明。愛好家の間でこの地が「ウイスキーの聖地」と言われるようになったわけです。
その修道院跡地に建てられた蒸留所製の初のシングルモルトとなる本品。ウイスキーファンとしてはやはりロマンを感じてしまいます。加えて、当店のブログにも時々登場する、数々の新興蒸留所を成功に導いた故ジム・スワン博士もその立ち上げに携わっていた、という事実にさらに期待がふくらみます。残念ながらスワン博士は蒸留所開業の直前(2017年2月)に亡くなってしまいましたが、博士が最後に手腕をふるった蒸留所がウイスキー生誕の地であったというのも感慨深いところです。
さて、飲んでみた感想です。香りは淡めですが、フレッシュですっきりした甘みを感じるモルト香。時間経過でバニラ+フレッシュフルーツ系の甘みが開いてきます。口当たりはスムーズ。STR樽由来と思われる軽いほろ苦さのある独特の樽感がやや優位で、それをシェリー樽とバーボン樽由来の甘みのある香味が控えめに下支えをしているイメージ。ボディはやや軽めのミディアム。飲み下すとペッパー系のスパイス感。比較的ドライなすっきりした味わいで、若さの感じられるモルトという印象ではありますが、今後へのポテンシャルを十分期待させてくれるファーストリリースと言えるのではないでしょうか。
補足になりますが、STR樽というのはスワン博士が考案したShaving(表面を削る)、Toasting(軽めに焼く)、Re-Charring(再度強く焼く)という工程を施した特別な赤ワイン樽で、その香味が味わいの核と感じられるところにも蒸留所スタッフのスワン博士への敬意が込められているような気がします。