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★3月の新入荷①★Kilchoman 100% Islay Madeira Matured
2023.03.07
では今月も新入荷ボトルの紹介をこつこつ書いていこうと思います。まずはモルトウイスキー8本を順にご紹介していきます。
① Kilchoman 100% Islay Madeira Matured キルホーマン 100%アイラ マデイラカスク ¥2000 / 2200
※ アイラモルト。「100%アイラ」は麦の栽培、製麦、蒸留、熟成、瓶詰のすべての工程をアイラ島で行った極少量生産のシリーズで、本品はマデイラワイン樽による7年熟成品。キルホーマンの通常品はフェノール値50ppmだが、本品は20ppmとミディアムピート仕上げで、マデイラ樽由来のフルーティな香味との調和が図られている。シングルカスクで309本のみの限定生産品。カスクストレングス58%。
まずは今月のエース格の1本から。アイラ島8番目の蒸留所として2005年に創業して以来、独特のピート感と真摯な酒造りで信頼を勝ち取ってきたキルホーマン。以前導入したバーボン樽70%+マデイラワイン樽25%+シェリー樽5%の3種の樽で熟成させた「ジャパン スモールバッチ No.1」(以下JSB1)が売り切れたのを受けて本品を導入しました。JSB1もマデイラ樽由来と思われるフルーツ系の香味が感じられ、たいへん評判のよかった一品でしたが、こちらは100%マデイラ樽熟成のシングルカスク。さらにマデイラ樽由来の香味が明確に感じられるはず、と楽しみにしていました。
飲んでみた感想です。色はオレンジがかったアンバー。JSB1よりはかなり濃い色合いです。土っぽさを伴う控えめなピート香。なるほど20ppmということでピート香は通常のキルホーマン製品よりは弱め。デーツのようなドライフルーツ系の甘みや、うまく表現できませんが長期熟成品を思わせる熟成感のある香りもします。
口当たりは58%とは思えないまろやかさ。デーツ系+軽い酸味を伴うアプリコットのようなフルーツ系の香味に、ピートスモークと樽由来の両方の効果が入り混じったような心地よいほろ苦さがあり、深みのある味わいを演出しています。7年は決して長い熟成期間ではないはずですが、若さは全く感じられず素晴らしい仕上がりです。
控えめなピート感はレギュラー商品の「マキアベイ」や「サナイグ」の爽やかな印象とは異なり、以前導入した「STRカスク」に近いアーシーなイメージ。それがフルーティな香味に見事に調和しています。これを見越して20ppmに抑えて仕込んだのだとすれば「恐れ入りました」と言わざるを得ません。
少量加水してアルコールの刺激が弱まるとさらにフルーティな甘みが強く感じられるようになります。そこに程よいスモーク感が絶妙に絡んでいるのが分かりやすくなる印象です。
「STRカスク」もすぐに売り切れてしまいましたが、これも人気になりそうですね。309本のみという限定品で次はちょっとなさそうなボトルですので、ご興味ある方はぜひお早めにお試しください。