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★10月の新入荷②★Annandale Man O’Sword
2023.10.13
② Annandale Man O’Sword アナンデール マンオソード 60% ¥1800 / 1980
※ ローランドモルト。アナンデール蒸留所は元々1837年の創業だが、1919年に閉鎖。しかしレンガ造りのその建物は歴史的建造物に指定され、オートミール工場などとして利用されてきた。それを地元の名士が3年近い月日をかけ蒸留所として再興。故ジム・スワン博士の監修の下、2014年11月から蒸留が開始された。大きめの初留スチル1基に対し、小さめの再留スチル2基を使用。銅とのコンタクトを高め、クリーンでフルーティな酒質を得ることを意図した珍しい1:2の蒸留方式を採っている。ノンピートとピーテッドの両方を生産しており、本品は45ppmのピーテッド版。「マン・オ・ソード=剣の人」とは蒸留所のあるダムフリーズ州にゆかりのある14世紀にイングランドの支配からスコットランドを解放した王、ロバート・ザ・ブルース王に因んでいる。同所の目指したフルーティな味わいがバーボン樽熟成らしいバニラ感、穏やかなピートスモーク感と共に表現されている。カスクストレングス60%。
★追記:アナンデール蒸留所のホームページには彼らがどのようにウイスキー造りに取り組んだのかが詳細に語られていて、これがなかなか読み応えがあって面白いです😊。特に興味深いのがウイスキーを製造するにあたり「アナンデール独自の味わい」を造らなければ意味がない、と考え、60種類のスコッチシングルモルトの味わいの特性分析を12人の熟練した調査員に依頼。それを数値化し、フレーバープロファイルマップを作成。その分布を見て空白となっている部分、すなわち主なアイラスタイルよりはピート感が穏やかで、フルーティあるいはエステリーな香味に甘みやバニラ感が入り混じったような味わいを造りたい、とジム・スワン博士に相談。博士がその実現に様々な提案をしてくれた、という記述。
そしてまだ若い熟成中のウイスキーの中でも出来のいい樽から「ファウンダーズセレクション」としてシングルカスクのカスクストレングスでボトリングされたのが本品です。使われた樽はセカンドフィルのバーボン樽ですが、スワン先生の助言によりファーストフィルとしてスコッチの熟成に使われた樽ではなく、アメリカンウイスキー(アーリータイムズ)の熟成に使われた樽を使用とのこと。
その味わいは見事に上記の狙った味わいになっている印象です。う~ん、やっぱりスワン先生、すごい👍!柔らかいハーブ感とすっきりした甘み。飲み下すと60%の刺激の後、じわじわとハーブ+バニラ+洋梨のイメージの独特の甘みと穏やかなピートスモークの香味が沸き上がってきます。45ppmの数字ほどピート感は強くありません。ボディはクリーンで若々しさはあるものの、60%でありながらそれほど尖った感じはしません。確かに個性が感じられ、何かに似ているという印象は受けない味わいです。熟成が進めばさらにエステリーな香味が増し、より美味しくなっていくんだろうなあ、と期待せずにはいられません。スワン先生はこれを味わうことなく亡くなってしまいましたが、アナンデールがその偉業をまたひとつ伝えていってくれることでしょう。