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⑨ Scarabus　スカラバス　46%　¥800 / 880

※ アイラモルト。2019年、ボトラーズのハンターレイン社がリリース。同年の「アイラフェス」で同社が経営するアイラ島のアードナッホー蒸留所で独占販売されたのち、世界展開された。その名は古ノルド語で「岩だらけの場所」を意味しアイラの神秘的なエリアを指すといい、本品のキャッチフレーズ「探し求める者だけが見つけることができる」の通り蒸留所非公表となっている。若めの原酒構成と思われるがアイラらしいピートスモーク感を核に同社のヴァッティングの技術力の高さを示す仕上がりで評価も高い。46%。

★追記：なかなかゴージャスな装丁のスカラバス。ハンターレインがそれなりに力を入れてリリースしていることが感じられます。蒸留所非公開のシングルモルト製品はどこの蒸留所製なのかを考えながら飲むのがひとつの楽しみかな、と思いますが、飲んでみた印象や諸事情を考えるとおそらくカリラではないでしょうか。香りは柔らかいバニラ香と草原系の香りをまとったすっきりしたピート香。カリラ12年の香りによく似ていますが、カリラ12年の方が奥行きのある甘さとウッドスパイス感を感じるので、熟成年数はいかにもそれよりは若そう。

味わいはほのかな柑橘香を伴うバニラ系の甘み、すっきりしたピート感。飲み下すとホワイトペッパー系の刺激のあと、余韻にかけてバニラ系の甘みがじわじわ増してきます。カリラ12年と比較するとやはり味わいのリッチさやコク、複雑さや奥行きなどの点で総合的にはちょっと分が悪いかな、という印象ですが、すっきりした飲み口、鮮明なピート感、余韻の魅力的な甘み、46%のしっかりした飲み心地など、本品には本品のよさがあると思います。カリラの５年熟成品とアナウンスされている「スモーキースコット」と比べるとそれよりは熟成が進んでいる印象で、もう少し角が取れて味わいの深まった仕上がりという印象です。なくなってしまったので比較できませんが、８年程度の熟成と言われていた「カリラ モッホ」に近いように思われます。スカラバスはその後「10年」をリリースしていますので、次はそちらを投入してどのように変化しているのかを確認してみたいところです。