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★11月の新入荷⑫★Navy Island Navy Strength
2023.11.28
⑫ Navy Island Navy Strength ネイビーアイランド ネイビーストレングス 57% ¥900 / 990
※ ジャマイカ産ダークラム。ネイビーアイランドはジャマイカのポートアントニオ沖に浮かぶ18世紀に英国海軍が拠点としていた小島で、カリブ海有数の美しさを誇るビュースポットとなっている。本品は複数の蒸留所製の全てポットスチルで蒸留された様々な熟成度合いのジャマイカンラム11種類を厳選しブレンド。ネイビー島産というわけではない。かつて海軍に献上されていたラム同様の57%というハイプルーフに仕上げられており、熟したバナナやブドウの果実感にバニラ、カラメル、チョコ、ウッド感などの香味が力強く交錯する。57%。
★追記:当店ではラムの分類は分かりやすい色合いによる分類(ダーク、ゴールド、ホワイト=シルバー)で紹介していますが、ラムは風味によってヘビー、ミディアム、ライトと分類されることもあります。風味の線引きは明確には決められないのでこの分類は分かりにくいように思われ、私は普段この分類についてはあまり意識することはありません。しかし、本品などは典型的なヘビーラムと言えるでしょう。重厚な風味とされるヘビーラムは基本的にモルトウイスキー同様単式のポットスチルで蒸留した原酒で造られていて、イギリス系の産地(かつての宗主国がイギリスだった国や地域)に多く、現在でも英連邦の一角であるジャマイカ産の100%ポットスチル蒸留のダークラムとなればいかにも、という感じです。では以下、飲んでみた感想です。
香りからすでにヘビーラム特有の何と言うか重油をイメージさせるような香りがその重厚な味わいを予感させます。その奥にはトロピカルフルーツ系の甘みも感じ取れます。口当たりはスムーズですが、さすがに57%、度数の高いことはすぐ分かります。しかし決して飲みにくい感じではありません。ウッド感やダークチョコ系の苦みとトロピカルフルーツ系の甘みがバランスよく楽しめる味わいで、加糖が禁じられているジャマイカンラムらしい自然な甘みがいい感じです。飲み下すとハイプルーフらしい刺激の後、ウッディなほろ苦さとトロピカルフルーツ系の心地よい甘みがじわじわ湧き上がる長い余韻。重油系のアロマを伴うほろ苦さが”ヘヴィ”な味わいを演出していますが、質感はかなりすっきりした印象で、57%品としてはかなり飲みやすい部類と思われます。
当店にはジャマイカンラムは「アプルトン12年」がありますが、アプルトンはトロピカルフルーツ系の自然な甘みやウッディなほろ苦さには共通点を感じますが、重油系のアロマは感じられず、ウイスキーに近いような香りの上品な仕上がりの印象。一方本品はいかにも「ジャマイカンラム」というヘビーでパワフルな風味が楽しめる仕上がりと言えそうです。
《おまけメモ》 一部のラム、主にヘビーラムに感じられる私が「重油系」と呼ぶ香味は何からくるのでしょう?いろいろ調べてみましたが、その香味について説明している記述は見つけられませんでした。しかし、調べてみた中で、おそらく発酵段階での製法の特徴により生まれるものではないか、という考察に至りました。
ヘビーラムの代表格であるジャマイカンラムではラムの原料である糖蜜にさとうきびの搾りかすである「バガス」や、蒸溜した残渣を長期間貯蔵した「ダンダー」を加えて発酵させたもろみを作ることが多いようです。このバガスやダンダーが加えられることでこうした香味が生み出されているということではないでしょうか。