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★12月の新入荷⑥★Benriach Peated Cask Strength
2023.12.21
⑥ Benriach Peated Cask Strength ベンリアック ピーテッド カスクストレングス 56% ¥1500 / 1650
※ スペイサイドモルト。スペイサイドの蒸留所としては珍しく以前からノンピートに加えヘビリーピーテッドの原酒を仕込んでいたベンリアックの2017年にリリースされたピーテッド版カスクストレングス品(バッチ1)。フェノール値は55ppmとされ、アードベッグ並み。オロロソシェリー樽とバーボン樽熟成原酒のブレンドで、アイラよりはヨード感の抑えられたアーシーな力強いピートスモーク感にフルーティでカラメル感を伴う甘みの絡む重厚な味わい。少量加水で甘みが華やかになるようだ。56%。
★追記:ロングモーンの兄弟蒸留所として1897年に創業するも2年後には閉鎖となるなど、長い苦難の歴史を持つベンリアック。注目を集めるようになったのは現在はグレンアラヒーを人気蒸留所に育て上げたビリー・ウォーカー氏が共同オーナーとなった2003年以降とかなり最近のことです。2007年にはアメリカのウイスキー専門誌「モルトアドヴォケート」で「ディスティラリー・オプ・ザ・イヤー」に選ばれ、2013年にはフロアモルティングによる自家製麦も再開しています。一方で低迷期にあってもブレンド用の多様なニーズに応えるため1983年頃からスペイサイドの蒸留所としては珍しいヘビリーピーテッドの原酒や、3回蒸留の原酒を製造するなど、その多様性のあるポテンシャルは昔から備えていたのかもしれません。
2016年にはブラウン・フォーマン傘下となり、2021年にはコアレンジ商品を一新。様々な樽で熟成させた原酒をブレンドしたラインナップとなっています。当店メニューにはまだそれ以前の製品であるノンピートの「10年」とピーテッドの「10年キュアリオシタス」しかありませんが、どちらも質は高く、今後も注目していきたい蒸留所のひとつです。
さて本品はそんなベンリアックのピーテッドのカスクストレングス商品。詳細は上記の通りですが、12月のラインナップに入れるくらい、私の期待の高かった1本。では、飲んでみた感想です。
ヨード感控えめのアイラとは異なるアーシーでほろ苦いピートスモーク感。その背後にはハチミツや何らかのフルーティな香味を感じる甘みとシナモン、ジンジャー、ペッパーを合わせたようなスパイス感。印象ではバーボン樽熟成原酒が主体でシェリー樽熟成原酒の割合は高くはなさそうですが、バーボン樽熟成の「10年キュアリオシタス」と比較するとやはりシェリー樽由来の香味がほんのりと加わっているような感じがします。カスクストレングスらしいしっかりとしたパンチのある味わいで、ほろ苦いピート感がボディ感も重厚に感じさせます。飲み応え十分な美酒だと思います。
少量加水するとアルコールの刺激が軽減される分甘みが明確になり、ほろ苦いピートスモーク感とのバランスはさらによくなる感じがします。フィニッシュには塩みも感じられるようです。ボディ感は全く損なわれる感じはなく、お好み次第ですが、私は少量加水が好みです。